気象学

地球中緯度における偏西風の気象学的特性と大気循環

地球中緯度における偏西風の気象学的特性と大気循環
地球の中緯度帯を年間を通じて西から東へ吹く偏西風について、大気循環の仕組み、偏西風波動、気候への影響を詳しく解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 偏西風は南北両半球の中緯度帯(平均して緯度30度から65度)の対流圏を年間を通して吹く西風である。
  • 偏西風はハドレー循環と極循環の温度差および地球自転によるコリオリの力によって発生する。
  • 高度とともに風速が増し、対流圏界面付近ではジェット気流と呼ばれる強い風の帯を形成する。
  • 赤道と極の温度差の変化に伴い、偏西風は南北に蛇行する偏西風波動を引き起こす。

偏西風(へんせいふう、英語: Westerlies)とは、広義には極を中心に西から東に吹く地球規模の帯状風をいい、成層圏や熱帯の上空にみられる西風も含まれます。一般的には、南北両半球の中緯度帯の対流圏を年間を通して吹く西風を指し、平均的に緯度30度から65度の範囲で西から東へ向かって流れる気流です。

地球の大気循環と偏西風のモデル図
地球の大気循環と偏西風のモデル

発生の仕組みと大気循環

偏西風は、熱帯地域の加熱を中心とするハドレー循環と、極地域の冷却を中心とする極循環という二つの子午面循環の間の層厚(温度差)の違いと、地球の自転に伴うコリオリの力によって発生します。

南北両半球の回帰線付近の上層では、赤道側からの流れと極側からの流れが収束して下降気流となり、高圧帯である亜熱帯高圧帯を形成します。この亜熱帯高圧帯から高緯度側へ吹き出す風が偏西風であり、低緯度側へ吹き出す風が貿易風となります。地球の自転の影響を受けるため、北半球では南西偏西風、南半球では北西偏西風の傾向を示します。

ジェット気流との関係

偏西風は高度とともに強まる性質を持ち、対流圏界面付近で風速が最大に達します。特に風速が極めて強い狭い領域はジェット気流と呼ばれ、北半球の冬季には偏西風が発達して平均風速が毎秒80メートルに達することもあります。

偏西風波動と気候への影響

赤道と極の間の温度差が大きくなると、偏西風は南北に大きく蛇行するようになります。この現象は傾圧不安定に起因する偏西風波動と呼ばれます。偏西風波動には、波長が約10,000 kmの超長波、3,000から8,000 km程度の長波、以及び3,000 km以下の短波が存在します。

中緯度帯における移動性の高気圧や低気圧は、一般的に偏西風の流れに流されて西から東へ移動します。偏西風が南北に蛇行する際、北半球においては最も北上した地点が気圧の尾根に、最も南下した地点が気圧の谷に対応します。この蛇行のパターンは日々の天気予報だけでなく、季節ごとの気候や異常気象にも大きな影響を与えます。

よくある質問

偏西風とはどのような風ですか?
南北両半球の中緯度帯(おおむね緯度30度から65度)の対流圏を、年間を通じて西から東へ吹く地球規模の気流のことです。
偏西風が吹く原因は何ですか?
熱帯の加熱と極地域の冷却による子午面循環の温度差と、地球の自転によるコリオリの力が主な原因です。
偏西風波動とは何ですか?
赤道と極の温度差が大きくなることで、偏西風が南北に蛇行する現象を指し、気圧の尾根や谷を作り出し気候や天候に影響を与えます。

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参考文献

2 季節予報に関わる大気・海洋現象 - 気象庁. 倉嶋 厚・青木 孝 日本大百科全書(ニッポニカ)ほか「偏西風」コトバンク. 早瀬 吉雄「水文から見た自然資源の問題点と自然資本の将来戦略(I)」水利科学.