航空機の主翼端に装着される補助翼:ウイングレットの構造と効果

📌 主なポイント
- ✓ウイングレットは航空機の主翼端に取り付けられる小さな翼端板の総称である。
- ✓翼端渦を抑制し誘導抗力を減少させることで、およそ4%から5%程度の燃料節減効果をもたらす。
- ✓NASAのリチャード・T・ウィットコムによって1970年代に本格的な実用改良が提唱された。
ウイングレット(winglet)とは、航空機の主翼端に取り付けられる小さな翼端板のことである。語源はwing(翼)とlet(小さいもの)を組み合わせたもので、「小さい翼」を意味する。様々な形状のものが存在し、それらを総称してウイングチップ・デバイスと呼ぶ。

概要と空気抵抗低減の仕組み
翼端が空中を移動すると、翼端後方には翼端渦と呼ばれる空気の渦が発生する。この渦は翼端を後方に引く力を生み出し、空気抵抗である誘導抗力を増大させる要因となる。ウイングレットは、翼端付近の空気の流れを整流することによって、翼端渦を減少させたりその発生方向を上方に移動させたりする役割を持つ。これにより空気抵抗が軽減され、航空機の燃費向上につながる。

翼端板の存在や一定の効果については第二次世界大戦以前から知られていたが、当時の需要の少なさから本格的な実用開発は一時停滞した。その後、1970年にNASAのリチャード・T・ウィットコムによって改良され、現代的な形状が提唱された。条件にもよるが、旅客機の運航において一般におよそ4%から5%程度の燃料を節減できるとされており、長距離路線ほどその効果が大きくなる。

機体の製造時に標準装備されるケースが多いものの、航空機メーカーやサードパーティーによる改修キットを用いて後付けされる場合もある。原油価格の高騰を背景に、後付け改修を行ってもその後の燃料費削減によって費用の回収が可能であるとして、導入を進める航空会社が増加している。例えば、ANAグループは2008年7月に、日本国内の航空会社として初めてボーイング767-300ERへのウイングレット装着を決定した。
主な種類
ウィングレット(ブレンデッド・ウイングレットなど)
垂直尾翼に似た形状を持つものが代表的である。主翼端からなめらかに連続した形状のものはブレンデッド・ウイングレットと呼ばれ、さらに下方にフェンスを追加したものはスプリット・シミタール・ウイングレットと呼ばれる。エアバス社では、A320シリーズ等に装着されるものをシャークレットと称している。



ウィングチップ・フェンス
矢じりのような形状をしており、主にエアバス社の旧世代機などで採用例が見られる。

レイクド・ウィングチップ
主翼端により深い後退角を持たせた形状であり、ボーイング社のボーイング787などの次世代機に広く採用されている。


スパイラル型
先端がらせん状に翼端へ繋がるSpiroidと呼ばれる形状であり、研究段階や一部のビジネスジェット等での検証が行われている。

航空レースへの応用
エアレースの分野においては、燃費よりもターンの多さや機動性が重視されるため、かつては装着の効果について議論があった。しかし、2014年シーズンに選手が大型ウイングレットを追加して好成績を収めたことを契機に、同様のデバイスを追加する機体が増加する傾向が見られる。


よくある質問
ウイングレットを取り付ける主な目的は何ですか?
ウイングレットによる燃料削減効果はどれくらいですか?
ウイングレットは後付けすることも可能ですか?
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参考文献
- ANAグループ プレスリリース『本邦初 ボーイング767-300ERにウイングレット! 〜エコロジープラン2008-2011 の実現に向けて〜』2008年7月11日
- RED BULL AIR RACE CHIBA 2015 オフィシャルチケットサイト「機体について」
- Red Bull Air Race「増え続けるウイングレット」2015年9月4日