ワイヤラッピング技術の解説と歴史

📌 主なポイント
- ✓ワイヤラッピングは、はんだ付けを伴わずに角柱状の端子に単芯銅線を巻きつけて電気的接続を得る配線方法である。
- ✓ベル研究所で開発され、電話交換機やアポロ誘導コンピュータの配線などに用いられた。
- ✓端子のエッジに銅線が食い込むことで安定した接触を保ち、専用工具により一定の品質を確保できる。
ワイヤラッピング(wire wrapping)とは、角柱状の端子(ラッピングポスト)に被覆を剥いた単芯被覆銅線を数回巻きつけることで電気的接続を得る、はんだ付けを伴わない電気配線接続の方法である。

仕組みと特徴
ワイヤラッピングの作業には、手動または電動の専用工具を使用する。配線をほどくための工具としてアンラッパーも存在する。また、ワイヤラッピング用として、角柱状の端子を長く伸ばしたICソケットなどの部品が用意されている。
上手に加工されたワイヤラッピングは、端子のエッジに銅線が食い込むことにより、安定した接触・導通を保つ。配線修正のためにほどくことも容易である。はんだ付けとは異なり、個人の技量に依存せず、専用工具によって一定以上の品質で行うことができるという利点がある。
一方で、回路が複雑になるに従い配線の束が分厚くなり、密集した長いラッピングポストは装置の重量増大を招くほか、配線が長くなることで信号伝達速度の低下やクロストークの増加など、回路特性が悪化する場合がある。また、配線を1箇所ずつ接続するため生産性はきわめて低い。

歴史と応用
ワイヤラッピングはベル研究所で開発され、同社の電話交換機の内部配線に用いられた。続いて、コンピュータの配線にも多用され、アポロ誘導コンピュータにも採用された実績がある。
当時のコンピュータは現在と比較して低速であったため、接続部にインダクタンスが発生することによる高速動作への不向きさは問題にならなかった。むしろ、プリント基板で作るよりも低い製造コスト、改修の行いやすさ、はんだ付けよりも高い信頼性が評価された。モジュールはプリント基板で作り、モジュール間の配線はワイヤラッピングによるという併用手法も存在した。
しかし、近年の部品実装の高密度化や回路動作の高速化に伴い、ワイヤラッピングが活躍する場面は少なくなっており、現在では主に試少量の製品生産や試作基板の作成に用いられている。
よくある質問
ワイヤラッピングとはどのような配線方法ですか?
ワイヤラッピングにはどのような利点がありますか?
現代においてワイヤラッピングがあまり使われないのはなぜですか?
関連記事
参考文献
- https://www.sigcis.org/files/ws2013Gaboury_Figures.pdf p. 24 (2024年9月4日閲覧)