X-53 (航空機)

📌 主なポイント
- ✓X-53はアメリカ合衆国の能動空力弾性翼(AAW)の技術実証実験機である。
- ✓F/A-18A ホーネットをベースに、NASA、アメリカ空軍研究所、ボーイングが共同で開発した。
- ✓2002年11月15日に初飛行を行い、2006年にX-53の名称が正式に付与された。
X-53は、アメリカ合衆国の実験機である。アメリカ海軍などで運用されていた戦闘攻撃機F/A-18A ホーネットをベースに、アメリカ航空宇宙局(NASA)、アメリカ空軍研究所(AFRL)、ボーイング社の「ファントムワークス」が共同で開発(改造)を手がけた。能動空力弾性翼(Active Aeroelastic Wing, AAW)の技術実証を目的としており、飛行試験はカリフォルニア州のエドワーズ空軍基地にあるドライデン飛行研究センター(DFRC)で実施された。

名称の経緯
計画の初期段階では「Xプレーン」としての正式な番号は付与されておらず、単に「F/A-18 AAW」などの名称で呼ばれていた。その後、2006年にアメリカ空軍より「X-53」の名称が正式に付与された。
能動空力弾性翼(AAW)の仕組み
従来の航空機の主翼は、舵を切った際にも変形しないよう高い剛性を持たせて設計されるのが一般的である。これに対し、能動空力弾性翼(AAW)は、主翼自体を意図的に柔軟に設計し、そのたわみを利用して効率的な機動力を生み出す技術である。
X-53では、主翼端の前後縁に設置された小型の動翼を油圧アクチュエータによって作動させる。動翼単体では十分な空気力を発生させられないが、柔軟に改修された主翼全体をねじる(ゆがませる)ことが可能であり、結果として飛行に必要な機動トルクを得ることができる。この手法により、従来の大型動翼を用いるよりも効率的な飛行や構造重量の軽減が期待されている。
開発と飛行試験
主翼の改修作業はボーイング社のファントムワークスが担当した。当初は別のF/A-18A機体が予定されていたが、構造上の亀裂が見つかったため、別の機体(テイルナンバー#853)の主翼を改造して換装する形をとった。
飛行試験は2つのフェイズに分けて実施された。第1フェイズは2002年末から2003年4月にかけて50回の飛行を行い、各種パラメータの収集が行われた。ソフトウェアの調整を経て行われた第2フェイズ(2004年末から2005年3月)では、尾翼を差動させることなく一定のロールレートを達成するなど、制御則や操縦性の評価が行われた。