化学
キセノン酸の化学的性質と水溶液中における挙動

キセノン酸の化学的性質、水溶液中での挙動、キセノン酸塩の生成および関連する研究について解説する百科事典記事です。
📌 主なポイント
- ✓キセノン酸は三酸化キセノンや六フッ化キセノンを水に溶かした水溶液中で生成するとされた貴ガス化合物である。
- ✓1933年にライナス・ポーリングによって存在が仮定され、1960年代に本格的な研究が行われた。
- ✓キセノン酸水溶液は有機化合物に対して非常に強力な酸化力を示す。
- ✓キセノン酸塩としてキセノン酸バリウムなどの生成が研究されている。
キセノン酸(Xenic acid または Xenonic acid)は、三酸化キセノンや六フッ化キセノンを水に溶解させることで得られる酸性水溶液中で生成するとされた貴ガス化合物である。

キセノン酸の存在は1933年にライナス・ポーリングによって仮定され、1960年代を中心に研究が進められた。キセノン酸水溶液は、エチレングリコールを二酸化炭素へと変化させるなど、有機化合物に対して非常に強力な酸化力を示すことが知られている。また、分子式を Xe(OH)6 と表した報告もあり、CAS登録番号として [15934-07-3] が与えられている。
水溶液中における挙動
三酸化キセノン水溶液を用いた中和滴定の結果、キセノン酸水素イオン(HXeO4⁻)の塩基解離定数(加水分解定数)や酸解離定数が報告されている。さらに、紫外可視吸収スペクトルのpH依存性などからも解離定数が求められている。

水溶液中の平衡反応として、以下のような化学平衡が議論されている。

中和滴定曲線の解析では、水溶液中における第二段階解離は確認されていない。

また、キセノン酸水素イオンは酸化剤として機能するが、塩基性溶液中でオゾンにより酸化されることで過キセノン酸水素イオンを生成する。その際の標準酸化還元電位の見積もりも行われている。

キセノン酸塩
キセノン酸水溶液に水酸化バリウムを加えることで無色の沈殿が生じる。この沈殿の組成についてはいくつかの報告が存在する。

一定濃度の三酸化キセノン水溶液に対して水酸化バリウム水溶液を攪拌しながら加えると、初期段階としてキセノン酸バリウムが沈殿し、室温で短時間のうちに過キセノン酸バリウムへと変化するという報告がなされている。

よくある質問
キセノン酸はどのようにして生成されますか?
三酸化キセノンや六フッ化キセノンを水に加えた酸性水溶液中で生成するとされています。
キセノン酸の存在を最初に仮定したのは誰ですか?
1933年にライナス・ポーリングによって存在が仮定されました。
キセノン酸水溶液にはどのような特徴がありますか?
有機化合物に対して非常に強力な酸化力を示すという特徴があります。
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参考文献
- 白井、「貴ガスの化合物: キセノン酸とその塩」 『化学教育』 1963年 11巻 4号 p.463-, doi:10.20665/kagakukyouiku.11.4_463_1, 日本化学会
- Linus Pauling (June 1933). “The Formulas of Antimonic Acid and the Antimonates”. J. Am. Chem. Soc. 55, (5): 1895–1900. doi:10.1021/ja01332a016.
- Jaselskis, B.; Vas, S. "Xenic Acid Reactions with vic-Diols" J. Am. Chem. Soc. 1964, 86, 2078-2079. doi:10.1021/ja01064a041
- E. H. Appelman, J. G. Malm, "Hydrolysis of Xenon Hexafluoride and the Aqueous Solution Chemistry of Xenon" J. Am. Chem. Soc. 1964, 86 (11), pp 2141–2148, doi:10.1021/ja01065a009
- Kirschenbaum, A. D.; Grosse, A. V. "Barium xenate" Science 1963, 142, 580-581. doi:10.1126/science.142.3592.580