法律・犯罪学

誘拐の法定義と世界的動向および歴史的背景

誘拐の法的な定義や世界・日本における動向、犯罪目的、歴史的背景について、信頼できる情報源に基づき解説する百科事典記事。

📌 主なポイント

  • 日本の法律用語において、欺く行為や誘惑による身柄の移転を「誘拐」、暴行や脅迫を用いたものを「略取」と区別する。
  • 警察庁の記録によると、第二次世界大戦後の日本国内における身代金目的誘拐事件の多くは解決に至っている。
  • 世界各国における誘拐の目的には、身代金要求のほか、労働力確保、麻薬組織の活動、慣習的な誘拐婚などが含まれる。

誘拐(ゆうかい、英語: kidnapping)とは、他人を欺く行為や誘惑を手段として、その身柄を自己の実力的支配内に移す犯罪行為である。

法的な定義と用語の整理

日本の法律用語において、欺く行為や誘惑を手段に他人の身柄を移すことが「誘拐」と呼ばれる。一方、暴行や脅迫を用いて強制的に連れ去る行為は本来「略取(りゃくしゅ)」に分類されるが、刑法学上はこれらを総合した概念として「拐取(かいしゅ)」という用語が用いられる。日常用語や報道機関においては、強制的な連れ去りや「拉致」も含めて「誘拐」と表現されることが一般的である。

世界における誘拐の動向と目的

誘拐は、世界各国においてさまざまな背景や目的で発生している。主な目的としては、身代金の要求のほか、労働力の確保や組織的犯罪への組み込み、麻薬組織の活動、慣習的な婚姻(誘拐婚)、儀式などが挙げられる。

例えば、2010年代以降の中華人民共和国やミャンマーの山岳地帯などでは、特殊詐欺の要員や労働力の確保を目的とした人的被害が確認されている。また、中南米においては麻薬組織の対立や治安悪化に伴う身代金目的の誘拐が社会問題化しており、ハイチなどの地域でも発生件数が問題視されてきた。

日本における誘拐事件の歴史

警察庁の統計によると、第二次世界大戦後に日本国内で発生した身代金目的誘拐事件は、2006年6月時点で288件が確認されている。このうち被害者が殺害された事例は34件であり、未解決事件となった事例の中には身代金の奪取に成功したケースは存在しない。

戦後の主な事例としては、1946年の日本帝国工業専務令嬢誘拐事件や住友家令嬢誘拐事件などが記録されている。また、長期の未解決事件となった事例や、捜査当局と報道機関の間で報道協定が締結された事例も存在する。

動物を対象とする誘拐

人間以外を対象とした連れ去り行為も存在し、特にペットの犬の誘拐は英語圏で「Dognapping(ドッグナッピング)」と呼ばれる。また、歴史的には身代金目的で競走馬が狙われる事例なども発生している。

よくある質問

誘拐と略取の違いは何ですか?
日本の法律用語では、欺く行為や誘惑を手段として身柄を移すことが「誘拐」であり、暴行や脅迫を用いることが「略取」と定義されています。
日本の戦後の身代金目的誘拐の解決状況はどうなっていますか?
警察庁によると、2006年6月時点での身代金目的誘拐事件の大部分は解決しており、未解決事件において犯人が身代金を取得できた事例はありません。

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参考文献

大辞泉「誘拐」、井田良(2016)『講義刑法学・各論』、重松一義『日本刑罰史年表 増補改訂版』、各種報道機関の報道資料