有色人種:歴史的背景と概念の変遷
📌 主なポイント
- ✓有色人種という概念は、19世紀から20世紀の帝国主義時代に植民地支配を正当化する目的で広く用いられた。
- ✓科学的根拠に基づかない人種差別的な分類であり、現代の学術的な人種分類としては使用されない。
- ✓カナダでは、雇用機会均等の文脈で「ヴィジブル・マイノリティー」という行政上の用語が定義されている。
有色人種(ゆうしょくじんしゅ)とは、主に19世紀から20世紀中頃にかけて、ヨーロッパ中心の帝国主義的な世界観の中で用いられた人種分類の概念です。一般的に「白色人種」と対比される形で、ヨーロッパ系のコーカソイド以外の集団を総称する言葉として使用されました。
歴史的背景と概念の成立
有色人種という概念は、初期の人類学や優生学の思想と密接に結びついて形成されました。当時のヨーロッパでは、宗教的・文化的な自己認識に基づき、自らを「コーカソイド」と定義し、他の人類集団をそこからの「退化」や「異質な存在」と見なす傾向がありました。この分類は、植民地支配や奴隷制を正当化するための論理的根拠として利用され、支配層と被支配層を外見上の特徴(皮膚の色など)で区別する手段となりました。
この概念は自然科学的な根拠を欠いており、人種差別を構造化するための社会的な構築物であったと指摘されています。そのため、現代の学術研究においては、科学的な分類ではなく、歴史学や社会史の文脈で検討されるべき概念と見なされています。
各国における用語の変遷
アメリカ合衆国
アメリカ合衆国において「Colored」という語は、歴史的に黒人や混血の人々を指す言葉として用いられてきました。しかし、公民権運動を経て人種差別に対する批判が高まる中で、この用語は差別的な響きを持つものとして公式の場では避けられるようになり、現在では一般的に使用されなくなっています。現代では「非白人(Non-white)」といった表現が用いられることが一般的です。
カナダ
カナダでは、雇用機会均等の文脈において「ヴィジブル・マイノリティー(visible minorities、容貌から判断できる少数派)」という用語が法的に定義されています。カナダ統計局や雇用均等法における定義では、先住民族を除く非白人系の人々を指し、肌の色や外見上の特徴に基づいて分類されます。これは特定の政策目的のために用いられる行政上の区分であり、かつての「有色人種」という人種差別的な概念とは異なる文脈で運用されています。
よくある質問
有色人種という言葉は現在も使われていますか?
ヴィジブル・マイノリティーとは何ですか?
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参考文献
- 京都大学人文科学研究所:竹沢泰子「人種概念の普遍性を問う」
- Employment Equity Act (1995, c. 44)
- Visible Minority Population and Population Group Reference Guide, 2006 Census (Statistics Canada)