映像技術

YUV色空間の基礎と映像信号における変遷

YUV色空間の基礎と映像信号における変遷
映像技術におけるYUV、YCbCr、YPbPr色空間の基本概念、RGBとの変換方式、および規格による違いについて解説します。

📌 主なポイント

  • YUV色空間は、輝度信号(Y)と2つの色差信号によって映像を表現するモデルの総称である。
  • YCbCrおよびYPbPrは、デジタル記録や伝送、カラーマトリックスの違いに対応した具体的な信号呼称である。
  • 人間の視覚特性を利用して色差成分を間引くクロマサブサンプリング技術と組み合わせて利用される。

YUVYCbCr、およびYPbPrは、人間の視覚特性を利用して映像情報を効率的に表現するために用いられる色空間の総称および特定の信号規格です。基本概念として、映像の明るさを表す輝度信号(Y)と、色情報を表す2つの色差信号を組み合わせて構成されています。

U、Cb、Pbは青色成分(B)から輝度を差し引いた値に特定の係数を掛けたものであり、V、Cr、Prは赤色成分(R)から輝度を差し引いた値に基づいて算出されます。

YUVおよびYCbCrの表記と定義

歴史的な背景から、現在のデジタル映像規格やDVD、HD映像の記録で使われているデータを「YUV」と総称して呼ぶことが見られますが、厳密にはPAL方式やSECAM方式のアナログコンポーネント信号を指す「YUV」と、デジタル記録等で使用される「YCbCr」や「YPbPr」は明確に異なります。

現代の映像技術においては、色空間モデルの総称としてYUVという用語が使われる一方、RGBとのカラーマトリックスの違いやサンプリング仕様を厳密に定義したデジタル・アナログ信号の呼称としては、それぞれYCbCrやYPbPrが用いられます。

RGBの色域内で表されるU-V色平面で Y' の値 = 0.5の例
RGBの色域内で表されるU-V色平面で Y' の値 = 0.5の例

UおよびVの値域を適切にスケーリング変換することにより、YCbCrにおけるCbおよびCr成分へと対応させることができます。

YCbCrとYPbPrの使い分け

規格や業界団体によって、YCbCrとYPbPrの呼び分けにはいくつかの見解が存在しています。一般的には、アナログ信号成分にCbやCrを用い、デジタル化された数値表現に対してPbやPrを用いるという説や、映像の解像度(SD映像用かHD映像用か)によって使い分ける説が挙げられます。

家庭用・業務用のビデオ機器やHDMIなどのデジタル伝送規格、さらには各国の標準化機関(ARIBやSMPTEなど)によって適用される呼称やマトリックス係数が異なります。

画像とそのY',U,Vコンポーネント
画像とそのY',U,Vコンポーネント

信号伝送と端子

映像信号の伝送方法には、アナログ伝送とデジタル伝送が存在します。業務用のアナログ機器では3本のBNC端子を用いたコンポーネント接続が行われ、家庭用機器ではRCA端子によるコンポーネント端子やD端子ケーブルが利用されてきました。デジタル伝送においては、SDIやIEEE 1394、HDMIなどが用いられます。これらは、単一の信号線で色相や輝度を混送するコンポジット映像信号とは根本的に区別されます。

RGBからの変換

RGB色空間とYUVやYCbCrとの相互変換には、規格ごとに定められた係数行列が使用されます。

RGBからYUVへの変換行列の例
RGBからYUVへの変換行列の例
RGBからYCbCrへの変換行列の例
RGBからYCbCrへの変換行列の例
HD映像における変換行列の例
HD映像における変換行列の例

MPEGなどのデジタル圧縮規格においては、8ビット整数演算への変換に伴い、Yや色差信号の値域に特定のオフセットが設けられるため、可逆的な変換とならない場合があります。

YUVからRGBへの変換行列
YUVからRGBへの変換行列
YCbCrからRGBへの変換行列
YCbCrからRGBへの変換行列
高解像度規格における逆変換行列
高解像度規格における逆変換行列
整数演算による変換の例
整数演算による変換の例

よくある質問

YUVとYCbCrの違いは何ですか?
YUVはアナログのコンポーネント信号や色空間全体の総称として用いられ、YCbCrは主にデジタル映像記録や放送規格で使われる、係数や値域が定義された信号形式を指します。
なぜ色差信号を間引くのですか?
人間の目は色の変化よりも明るさの変化に対して敏感であるため、色差信号の解像度を下げても画質劣化が目立ちにくく、データ量を効率的に削減できるためです。

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参考文献

  • 今村元一, ビデオ信号の基礎とその操作法, CQ出版, pp. 97, ISBN 978-4789836241.