無機化学

ヒ酸の化学的特性と製法に関する基礎知識

ヒ酸の化学的特性と製法に関する基礎知識
化学式H3AsO4で示されるヒ酸の製法、物理的性質、化学的性質、および毒性や規制に関する事実を解説するエンサイクロペディア記事。

📌 主なポイント

  • ヒ酸の化学式は H3AsO4 である。
  • ヒ素の酸化数が+V(+5)であるオキソ酸の一種である。
  • 日本では医薬用外毒物に指定されている。

ヒ酸(砒酸、ひさん、英語: arsenic acid)は、化学式 H3AsO4 で示される無色の結晶であり、ヒ素のオキソ酸の一種である。オルトヒ酸(orthoarsenic acid)とも称され、ヒ素原子の酸化数が最高酸化状態である+V(+5)をとる化合物である。

0.5水和物の形態で無色結晶として単離され、吸湿性を有するとともに水に極めて溶けやすい性質を示す。3価の酸として機能する点などにおいてリン酸との類似性が指摘されている。

製法

ヒ酸は、単体ヒ素または三酸化二ヒ素を濃硝酸により酸化し、得られた溶液を濃縮することによって得られる。温度条件によって析出する結晶の形態が異なり、29.5℃以下では0.5水和物の細かい板状結晶が析出する一方、29.5℃以上では三ヒ酸が析出することが知られている。

三ヒ酸の化学式表現
三ヒ酸の化学式
単体ヒ素の硝酸酸化反応
単体ヒ素と濃硝酸による酸化反応
三酸化二ヒ素の硝酸酸化反応
三酸化二ヒ素の酸化反応

また、五酸化二ヒ素(無水ヒ酸)を水に溶解させることによっても調製が可能である。

五酸化二ヒ素の水への溶解反応
五酸化二ヒ素の水和反応

物理的および化学的性質

無水物の結晶は水に対してやや吸熱的に溶解する。電離を伴わない無電荷分子に対する溶解熱を示す。

ヒ酸の水への溶解平衡
ヒ酸の溶解平衡

酸解離定数としては複数の段階が知られており、Perrin(1982)などの文献によれば、第1解離定数 pKa1 は約2.19、第2解離定数は約6.94、第3解離定数は約11.5である。

毒性と規制

ヒ酸およびその塩類は強い毒性を有しており、日本の毒物及び劇物取締法においては医薬用外毒物に指定されている。ウサギを用いた経口投与における半数致死量(LD50)は体重1kgあたり6mgと報告されている。

よくある質問

ヒ酸の化学式は何ですか?
ヒ酸の化学式は H3AsO4 です。
ヒ酸はどのように製造されますか?
単体ヒ素または三酸化二ヒ素を濃硝酸で酸化する方法や、五酸化二ヒ素を水に溶解させることによって得られます。
ヒ酸の法的な位置づけはどうなっていますか?
日本では医薬用外毒物に指定されています。

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参考文献

1. Arsenic acid - PubChem 2. Perrin, D. D. (1982). Ionisation Constants of Inorganic Acids and Bases in Aqueous Solution, IUPAC Chemical Data. 3. 化学大辞典編集委員会『化学大辞典』共立出版、1993年。 4. F. A. コットン、G. ウィルキンソン著『コットン・ウィルキンソン無機化学』培風館、1987年。