化学
分散系:定義、分類、および物理的性質

分散系(分散質と分散媒からなる混合物)の定義、相や粒子サイズによる分類、およびコロイドや凝析といった物理的性質について解説します。
📌 主なポイント
- ✓分散系は、分散質(粒子)と分散媒(媒質)の組み合わせで構成される混合物である。
- ✓粒子サイズが1nmから100nm程度の分散系はコロイドと呼ばれ、特有の光学的性質を示す。
- ✓凝析や塩析は、電気二重層の斥力が弱まることで粒子が凝集する現象である。
分散系(英: dispersed system)とは、ある物質(分散質)が別の物質(分散媒)の中に微細な粒子として浮遊あるいは懸濁している状態の混合物を指します。分散している粒子のサイズは、一般的に1nmから1000nm(1µm)程度の範囲にあるものが対象となります。この粒子が媒質中に広がる現象を「分散」と呼びます。
分散系の分類
分散系は、分散質と分散媒の相(気体・液体・固体)の組み合わせによって分類されます。分散媒は系の中で連続相を形成し、通常は最も量が多い成分が該当します。
相による分類
| 分散媒\分散質 | 気体 | 液体 | 固体 |
|---|---|---|---|
| 気体 | 分子分散系(ガスミクスチャー) | エアロゾル | 固体エアロゾル |
| 液体 | 泡(フォーム) | エマルション(乳濁液) | ゾル |
| 固体 | 固体泡(ソリッドフォーム) | ゲル(ジェル) | 固体ゾル |
粒子サイズによる分類
粒子サイズは系の性質を決定づける重要な要素です。特に100nm以下の粒子を含む系は「コロイド」と呼ばれ、溶液と懸濁液の中間的な性質を示します。
- 溶液:粒子サイズが1nm以下。均質な混合物。
- コロイド:粒子サイズが1nm〜100nm。半透明で、半透膜を通過しない性質を持つ。
- 懸濁液(サスペンション):粒子サイズが100nm以上。不均質で、濾紙を通過せず沈降しやすい。
物理的性質
光学的性質
分散系に含まれる粒子が可視光の波長と同程度である場合、光の散乱が生じます。これにより、牛乳の濁りやオパールの光沢、朝もやなどの現象が観察されます。特に、光を照射した際に光の通路が斜めから見える現象をチンダル現象と呼びます。
凝析と塩析
分散質粒子は、表面電位による電気二重層の斥力によって安定化しています(DLVO理論)。ここにイオン性物質(塩)を加えると、電気二重層が圧縮されて斥力が弱まり、粒子同士がファンデルワールス力によって凝集・沈降します。これを凝析と呼び、特に塩によるものを塩析と呼びます。この凝結能力には順序があり、ホフマイスター系列として知られています。
よくある質問
分散系と溶液の違いは何ですか?
分散系は粒子が媒質中に浮遊・懸濁している状態を指しますが、溶液は溶質が溶媒に分子やイオンレベルで均一に溶け込んでいる状態を指します。
チンダル現象とはどのような現象ですか?
分散系に光を照射した際、粒子による光の散乱によって光の通路が横から見える現象のことです。
塩析はどのような場面で利用されますか?
タンパク質の分離や粗精製、あるいは石鹸の製造工程における沈殿分離などに利用されます。
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参考文献
- Sahay, Ankita. "Dispersion Systems". Embibe Exams, 2021.
- "Mixture Chemistry Involves Solutions, Suspensions, Colloids, and More". ThoughtCo, 2023.