食品加工技術

保存食としての金属缶技術の歴史と特徴

保存食としての金属缶技術の歴史と特徴
金属缶を用いた保存食である缶詰の歴史、製造方法、長所や短所について解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 缶詰は食品を金属缶に詰め、加熱殺菌を行うことで保存性を高めた食品である。
  • 製造過程で高熱殺菌を行うため、保存料や殺菌剤は使用されていない。
  • 1804年にニコラ・アペールが瓶詰めを発明し、1810年にピーター・デュランドが金属製容器を用いた手法を考案した。

缶詰(かんづめ)は、一般に水分の多い食品を金属缶に詰めて密封した上で、微生物による腐敗や変敗を防ぐために加熱・殺菌した保存食である。乾燥食品などを単に金属缶に詰めて密封したものは「缶入り」と呼ばれ、厳密には缶詰とは区別される。また、食品以外でも空気や土産物などの特殊な缶詰が製造されることもある。

概説

長期保存に適するよう調理した食品を金属製容器に入れて封をし、加熱処理を施した保存食である。中の微生物を高熱で殺菌しているため、殺菌剤や保存料は使用されていない。業務用では18リットル程度の大型缶(一斗缶)もあり、食用油や液状調味料、大型食材の封入に用いられる。飲み口のある飲料缶はそれぞれ缶コーヒー、缶ジュース、缶ビールなどと呼ばれる。

特徴

長所

水や気体に対する遮断性が大きく、脱気・密封・殺菌の工程を経ているため長期保存に適している。熱伝導性が高いため効率よく加熱・殺菌、冷却を行うことが可能であり、金属特有の剛性や弾性により荷扱いや規格化が容易である。また、主食や副食、デザートなど種類が豊富で、栄養価の損失が少ない点も特徴とされる。

短所

缶の内面に適切な塗装を施さない場合、保存中に腐食が生じるおそれがある。また、缶詰を直火で加熱すると内側のコーティング成分が溶出する恐れがあるため、日本製缶協会などは湯煎による温めを呼び掛けている。開封に関して、近年は缶切りが不要なイージーオープン缶が増加しているが、強い衝撃で自然に開缶してしまうリスクも指摘されている。

製造方法

内容は洗浄され、食用にならない部分が取り除かれた上で缶に詰められる。必要に応じて調味液が加えられ、内部の空気が抜かれた状態で封がされる。その後、内容物に応じた温度と時間で加熱殺菌が行われる。例えば魚の缶詰の場合、摂氏120度で約1時間、高圧高温殺菌され、この過程で骨まで柔らかくなる。

歴史

フランスのナポレオン・ボナパルトが遠征における食料補給の課題解決に向けて懸賞を募り、ニコラ・アペールが1804年に長期保存可能な瓶詰めを発明した。その後、ガラス瓶の重さや破損しやすいという欠点を改善するため、1810年にイギリスのピーター・デュランドが金属製容器を用いる方法を考案したのが金属缶の原型とされる。

よくある質問

缶詰に保存料は使われていますか?
使われていません。缶詰は内部の微生物を高熱で殺菌し、完全に密封しているため保存料を使用する必要がありません。
缶詰を直火で温めても大丈夫ですか?
日本製缶協会などは、直火で加熱すると内側のコーティング成分などが溶け出す恐れがあるため、温める際は湯煎にするよう呼び掛けています。
魚の骨まで柔らかくなっているのはなぜですか?
魚の缶詰の製造工程において、摂氏120度前後の高圧高温で約1時間にわたり加熱殺菌が行われるため、骨まで柔らかくなります。

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参考文献

日本食品保蔵科学会『食品保蔵・流通技術ハンドブック』(建帛社 2006年) / 日本缶詰協会『缶詰、びん詰、レトルト食品Q&A』