自然科学

軟水の基礎知識:特徴・日本の水質・用途別の活用法

軟水の基礎知識:特徴・日本の水質・用途別の活用法
カルシウムやマグネシウムの含有量が少ない軟水について、硬度の定義や日本における水質の特徴、料理や飲料への影響、配管への影響などを解説します。

📌 主なポイント

  • 軟水とは、カルシウムやマグネシウムなどの金属イオン含有量が少ない水である。
  • 厚生労働省の分類において、軟水は硬度60mg/L以下の水を指す。
  • 日本の水道水は全体的に硬度が低い軟水が多いが、地域によって中硬水に分類される場所もある。

軟水(なんすい)とは、水に含まれるカルシウムやマグネシウムなどの金属イオン含有量が少ない水のことである。これに対し、これらのミネラルが多く含まれる水は硬水と呼ばれる。

グラスに注がれる透明な水
グラスに注がれる水

硬度の定義と分類

水の硬度は、一般的にカルシウム濃度(mg/L)×2.5とマグネシウム濃度(mg/L)×4.1の合算値として算出され、炭酸カルシウム(CaCO3)の含有量に近似される。厚生労働省の食品安全委員会などが示す資料や一般的な定義では、硬度によって以下のように分類されている。

  • 軟水硬度 0〜60 mg/L
  • 硬水(中硬水):硬度 61〜120 mg/L
  • 硬水:硬度 121〜180 mg/L
  • 超硬水:硬度 181 mg/L以上

日本の水質と特徴

日本の水は他国に比べて硬度が低い傾向にある。日本の水道水は硬度80未満の軟水が多く、河川の流域面積が狭いほどミネラルの溶解が少なくなり硬度が下がる特徴を持つ。なお、南西諸島や関東地方の一部、福岡県の一部などでは比較的硬度が高く、中硬水に分類される地域もある。

利用と影響

軟水はカルシウムやマグネシウムなどの金属イオンが少ないため、石鹸の泡立ちが良く、金属石鹸(石けん滓)が形成されにくい特性を持つ。

また、料理や飲料の分野ではその特性を活かした使い分けが行われている。例えば、和食の出汁をとる際、昆布のグルタミン酸や鰹節のイノシン酸などの旨味成分の抽出において、ミネラルによる悪影響が少ない軟水が適しているとされている。コーヒーの抽出においても、浅煎りの豆を用いる場合には軟水を使うことで、豆本来の香りやさっぱりとした味わいを楽しむことができる。

配管への影響

金属イオンが少ない軟水は、鉄管の内部において保護層となる炭酸カルシウムなどのスケールの析出が抑えられるため、一定の条件下では鉄管の腐食が進みやすいとされている。近年広く普及しているポリエチレン管などの配管素材であれば、こうした問題は生じにくい。

よくある質問

軟水と硬水は何によって区別されますか?
水に含まれるカルシウムやマグネシウムの金属イオン含有量(硬度)によって区別されます。
日本の水は軟水が多いというのは本当ですか?
はい。日本の水道水は硬度80未満の軟水が多い傾向にありますが、地域によっては中硬水に分類される場合もあります。
軟水はどのような用途に適していますか?
石鹸の泡立ちが良くなるほか、和食の出汁とりや浅煎りコーヒーの抽出など、ミネラル成分の影響を抑えたい用途に適しています。

関連記事

硬水硬度 (水)浄水器ミネラルウォーター

参考文献

厚生労働省 食品安全委員会「清涼飲料水評価書 カルシウム・マグネシウム等(硬度)」2017年4月25日、p.10。
東京都水道局「水の硬度 | 水源・水質」。