流体力学
渦度(流体力学)

流体力学における渦度(かど、うずど)の定義、数学的性質、および大気力学における重要性について解説します。
📌 主なポイント
- ✓渦度は流体の速度ベクトルの回転(rot)として定義されるベクトル量である。
- ✓渦管の強さは、渦管の断面を通る渦度の面積分として定義され、流体内で保存される性質を持つ。
- ✓大気力学において、北半球の低気圧は正の鉛直渦度、高気圧は負の鉛直渦度として表される。
渦度(かど、英: vorticity)は、流体の流れの回転する様子を定量的に表現する物理量です。流体力学において、速度ベクトル場の回転(rot)として定義されるベクトル量であり、流体要素がその位置でどれほどの角速度で回転しているかを示します。
数学的定義
流速ベクトルをv = (vx, vy, vz) とすると、渦度ベクトルΩは以下の演算で求められます。

渦度は速度勾配テンソルの反対称成分と密接に関連しており、流体内の微小領域がその中心軸まわりに剛体的に回転する角速度の2倍に相当します。
幾何学的概念
渦度に関連する概念として、以下の用語が用いられます。

渦管の表面を一周する閉曲線に沿った循環Γは、渦管に固有の量であり「渦管の強さ」と呼ばれます。ストークスの定理により、循環は渦度の面積分として表されます。

大気力学における渦度
大気力学では、渦度ベクトルのうち鉛直方向の成分(鉛直渦度)が特に重要視されます。北半球では、低気圧に伴う回転は正の渦度、高気圧に伴う回転は負の渦度として現れます。

また、地球の自転に起因する惑星渦度と、地表から見た相対的な回転である相対渦度を合わせたものを絶対渦度と呼びます。大気中では、発散や収束が無視できる条件下において絶対渦度が保存される性質があり、これは数値予報において極めて重要な役割を果たします。


よくある質問
渦度と循環の違いは何ですか?
渦度は流体内の各点における回転の強さを表す局所的な量ですが、循環は閉曲線に沿った速度の線積分であり、領域全体としての回転の総量を表す積分量です。
なぜ大気力学では鉛直渦度が重視されるのですか?
大規模な大気運動においては水平方向のスケールが鉛直方向に比べて非常に大きいため、鉛直方向の回転成分が気象現象の解析や予測において支配的な役割を果たすためです。
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参考文献
- 今井功『流体力学(前編)』裳華房、1997年、43-44頁。
- 巽友正『流体力学』培風館、1998年、27-29頁。
- Holton, J. R., An Introduction to Dynamic Meteorology, 4th ed., Elsevier Inc., 2004, pp. 103-106.