物理学
物理学における融解の基礎と熱力学的性質

物理学における融解の定義や熱力学的な性質、融解熱、エンタルピー・エントロピーの変化、および生体高分子の融解温度について詳しく解説します。
📌 主なポイント
- ✓融解とは、物理学において固体が液体へ変化する現象、またはそのための加熱を指す。
- ✓融解に伴い、物質のエンタルピーとエントロピーが増大する。
- ✓熱力学的な平衡状態において、融点でのギブス自由エネルギーの変化はゼロとなる。
- ✓液体が固体に変化する現象は凝固と呼ばれ、通常は融点と凝固点は一致する。
融解(ゆうかい、英: melting)とは、物理学において固体が液体に変化する現象、またはそうさせるために加熱することを指す。物質が固体から液体へと相転移する温度を融点と呼び、液体に変化した状態は液相と呼ばれる。また、漢字表記として「鎔解」や「熔解」が用いられることもあるが、同音の「溶解」とは区別される。

熱力学的特性と融解熱
固体の温度を融点まで上昇させるためには熱エネルギーが必要となる。さらに、固体が液体へと相転移する過程そのものにも熱エネルギーが不可欠であり、これは融解熱(潜熱)として液体の中に吸収される。
融解が進行する際、物質のエンタルピーとエントロピーはともに増大する。熱力学的な平衡状態において、融点では固体と液体が共存するため、融解に伴うギブス自由エネルギーの変化はゼロとなる。この関係は以下の数式で表される。

ここで用いられる記号として、温度を示す変数が定義されている。

また、融解に伴うエントロピーの変化量やエンタルピーの変化量についてもそれぞれ数式で定義される。


圧力依存性と凝固
物質の融点は外圧によって変化する特性を持つ。一般に、液体のギブス自由エネルギーが同じ物質からなる固体のギブス自由エネルギーよりも低い状態にあるときに融解が生じる。
なお、液体が固体へと変化する現象は凝固または固化と呼ばれ、通常の物質において融点と凝固点は一致する。
生体高分子における融解温度
物理学的な相転移の概念から派生し、ペプチドや核酸といった特定の二次構造を持つ生体高分子において、加熱によりその構造がほどける現象を指す場合もある。この構造が崩壊する温度は、生化学や分子生物学の分野で融解温度 (Tm)と呼ばれる。
よくある質問
融解とは何ですか?
物理学において、固体が液体に変化すること、またはそのために加熱することを指します。
融解と溶解の違いは何ですか?
融解は単一の物質が固体から液体に相転移することを指すのに対し、溶解は溶質が溶媒に溶け込んで均一な溶液を作る現象を指します。漢字の同音異義語として混同されやすい点に注意が必要です。
融解熱とはどのようなものですか?
固体が液体へと変化する過程そのものに必要な熱エネルギーであり、潜熱として液体の中に吸収されるものです。
生体高分子の融解温度とは何ですか?
ペプチドや核酸などの特定の二次構造を持つ生体高分子を加熱した際、その構造がほどける温度のことを指します。
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参考文献
日本物理学会編『物理学用語辞典』および一般的な熱力学の基礎資料に基づく。