栄養学

炭水化物の基礎知識と生理・栄養学的特性

炭水化物の基礎知識と生理・栄養学的特性
炭水化物(糖質および食物繊維)の化学的分類、生理作用、栄養学的な摂取基準について解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 炭水化物は、たんぱく質、脂質と並ぶ「三大栄養素」のひとつである。
  • 栄養学上、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」の総称として扱われる。
  • 体内に吸収されたグルコースは、細胞におけるエネルギー源として利用される。

炭水化物(たんすいかぶつ、英: carbohydrates)は、単糖を構成成分とする有機化合物の総称であり、天然に存在する有機化合物の中で量的に最も豊富である。脂質、たんぱく質と並び、多くの生物種にとって不可欠な「三大栄養素」のひとつに数えられる。

定義と化学的分類

かつては分子式 Cm(H2O)n で表され、炭素に水が結合した物質のように見えることから「含水炭素」とも呼ばれていた。しかし、デオキシリボースのようにこの分子式に当てはまらないものや、逆にホルムアルデヒドのように炭水化物と呼ばれないものも存在する。そのため、現在では糖およびその誘導体、縮合体の総称として定義されている。

化学的には、構成する単糖の数や構造によって以下のように分類される。

  • 単糖類:これ以上加水分解されない最小単位の糖(グルコース、フルクトースなど)。
  • 少糖類(オリゴ糖):単糖が2個から10個程度縮合したもの。
  • 多糖類:単糖がさらに多数結合したもので、デンプンやセルロースなどが含まれる。

生理作用と代謝

ヒトが摂取した炭水化物は、消化酵素の作用により最終的に単糖類(グルコース、フルクトース、ガラクトースなど)まで分解されてから小腸で吸収される。吸収されたグルコースは血液中に入り、血糖として全身の細胞に運ばれ、生体活動のエネルギー源(ATP)を合成するための重要な基質となる。

体内における血糖値はホメオスタシスによって厳密に調整されており、インスリンやグルカゴンなどのホルモンがその調節を担っている。また、植物においては光合成によって生成され、デンプンとしてのエネルギー貯蔵や、セルロースを主成分とする細胞壁の形成に利用されている。

栄養学的特徴と摂取基準

栄養学上、炭水化物はエネルギー源となる「糖質」と、消化酵素で分解されにくい「食物繊維」に大別される。厚生労働省の食事摂取基準などでは、1日あたりの総エネルギー必要量のうち50%から70%を炭水化物から摂取することが目標とされている。また、生活習慣病予防の観点から、全粒穀物や野菜、果物などに含まれる食物繊維の適切な摂取が推奨されている。

よくある質問

炭水化物と糖質の違いは何ですか?
栄養学上、炭水化物は「糖質」と「食物繊維」を合わせた総称です。そのうち消化酵素で分解されてエネルギー源になるものが糖質と呼ばれます。
炭水化物の主な生理作用は何ですか?
生物の細胞における主要なエネルギー源となるほか、植物においてはデンプンとしての貯蔵やセルロースによる細胞壁の形成など構造維持にも用いられます。

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参考文献

渡邊昌『運動・からだ図解 栄養学の基本』2016年、92頁。
Report of a Joint WHO/FAO Expert Consultation, 2003.