食品の定義・分類と歴史的背景に関する概説

📌 主なポイント
- ✓食品衛生法において、食品とは医薬品や医薬部外品等を除いた全ての飲食物を指す。
- ✓食品は「安全」「栄養」「経済」「実用」「嗜好」の5つの価値によって評価される。
- ✓農耕と牧畜の開始により、人類は定期的かつ効率的な食糧生産を実現した。
- ✓19世紀の産業革命と近代科学の発展により、食品工業や栄養学が確立された。
食品(しょくひん、英語: food)とは、人が食べるために直接使用できる、食用可能な状態のものの総称である。人間が日常的に食物として摂取するものを指し、食糧品や食物とも呼ばれる。
用語の概念と定義
「食糧」「食品」「食物」といった近接した用語の間には、ニュアンスの違いが存在する。一般に「食糧」は加工前の材料寄りの概念であり、「食品」はそれらが流通や処理を経た状態を指し、「食物」はさらに調理されたものを指す傾向がある。例えば、収穫されたままの米は食糧、精米されたものは食品、炊飯されたご飯は食物と位置づけられる。
法制度上の定義において、日本の食品衛生法では「全ての飲食物をいう。ただし、医薬品、医療機器等の品質、有効性及び安全性の確保等に関する法律に規定する医薬品、医薬部外品及び再生医療等製品は、これを含まない」と規定されている。また、米国の食品医薬品局(FDA)においては「食品及び栄養摂取の目的で口から入るもの」として所管されている。
食品の分類
食品は、その利用目的や法制度、栄養学的観点などに応じて多様な分類がなされている。
法的・国際的な分類
日本国内の制度では、食品は一般食品と保健機能食品(特定保健用食品および栄養機能食品)に区分される。国際的には、国際食品規格委員会のコーデックス食品分類システム(FCS)において、乳製品、油脂、果実・野菜、穀類、食肉、水産製品など16種類の大分類に体系化されている。
栄養学的分類
日本で広く用いられている栄養学的分類の一つに、食品をその主要な栄養素の供給源ごとに分けた6つの基礎食品群がある。これには、たんぱく質を主とする魚・肉・大豆類や、エネルギー源となる炭水化物を供給する穀類・芋類などが含まれており、栄養バランスの指標として活用されている。
食品の価値と評価基準
食品は主に、安全、栄養、経済、実用、嗜好という5つの価値によって評価・分析される。このうち最も重視されるのは、摂取者の健康や生命に直接関わる「安全的価値」である。
- 安全的価値:健康への影響や衛生上の安全確保
- 栄養的価値:必要な栄養素を含み、消化・吸収される性質
- 経済的価値:日常的に調達・消費しやすい価格や供給の容易性
- 実用的価値:保存、調理、貯蔵、運搬の簡易性
- 嗜好的価値:食味がもたらす美味感や美感
食品の保存と加工
食品の品質低下を防ぎ、生産地から遠隔地への安定供給や衛生上の安全を確保するため、様々な保存方法が発展してきた。これには、冷蔵、冷凍、包装、乾燥といったそのままの形態での保存に加え、塩蔵や糖漬け、調味加工などの加工技術が含まれる。
歴史的背景
太古の人類は、狩猟、漁労、採集によって食料を得ていた。火の利用が始まったことで、それまで生食できなかった穀物や芋類などの食用範囲が大きく拡大した。その後、世界各地で農耕や牧畜が開始されると、定住的な食糧生産基盤が整えられた。15世紀の大航海時代以降には新旧大陸間の作物交換(コロンブス交換)が進み、利用される食品の種類が飛躍的に増加した。19世紀の産業革命以降は、食品工業や食品科学、栄養学が成立し、近代的な流通と安全規制が整えられている。
よくある質問
「食糧」「食品」「食物」の違いは何ですか?
日本の食品衛生法における食品の定義とは何ですか?
食品を評価する上で最も重要な価値は何ですか?
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参考文献
- 食品衛生法(昭和二十二年十二月二十四日法律第二百三十三号)
- 小学館『日本大百科全書』「食品」
- コーデックス食品分類システム(Food Category System: FCS)資料
- 南直人『ヨーロッパの舌はどう変わったか 十九世紀食卓革命』講談社