物理化学

化学および気象学における蒸気圧の基礎と物性評価

化学および気象学における蒸気圧の基礎と物性評価
化学や気象学における蒸気圧の定義、温度依存性、気液平衡、および各種物質の物性値について詳しく解説する百科事典記事です。

📌 主なポイント

  • 蒸気圧は液相または固相にある物質と相平衡にある気相の圧力であり、温度に依存する物性値である。
  • 沸点とは、液相にある物質の蒸気圧が外圧に等しくなる温度である。
  • 純物質の蒸気圧や沸点の関係は、アントワン式などの実験式によって近似される。

蒸気圧(じょうきあつ、英語: vapor pressure)あるいは平衡蒸気圧(へいこうじょうきあつ、英語: equilibrium vapor pressure)とは、液相あるいは固相にある物質と相平衡にあるような物質の気相の圧力のことである。蒸気圧は物質に特有の物性値であり、温度に依存して決まる性質を持つ。

水の蒸気圧を縦軸、温度を横軸に取ったグラフ。水はおよそ100度で沸騰する。
水の蒸気圧を縦軸、温度を横軸に取ったグラフ。水は標準大気圧の下でおよそ100度で沸騰し、この時の蒸気圧は1気圧に等しくなる。

相平衡と温度依存性

物質の沸点とは、その物質が液相にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度である。また、物質の昇華点とは、その物質が固相にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度である。さらに物質が液相と固相の平衡状態にあるときの蒸気圧が外圧に等しい温度は三重点と呼ばれる。

液体の物質の周囲でのその物質の蒸気の分圧が液相の蒸気圧に等しいとき、その液体は蒸気と気液平衡の状態にある。気液平衡から温度を上げると蒸気圧が上がり、蒸気の分圧より大きくなる。液体が蒸発することで蒸気量が増えて分圧も上がり、新たな温度での蒸気圧と等しくなることで再び気液平衡となる。逆に温度を下げると蒸気圧は下がり、蒸気が液体に凝縮することで分圧が低下する。気相と固相の相平衡でも同様に、温度の変化に対して物質が昇華または凝縮して平衡が保たれる。

純物質の蒸気圧はクラウジウス・クラペイロンの式によって近似され、溶液であれば蒸気圧降下が起こりラウールの法則で近似される。

水の蒸気圧とアントワン式

他の液体と同様に、蒸気圧が周囲の大気圧まで達すると水は沸騰する。高度が高い場所では大気圧が低くなるため、水は低い温度で沸騰する。大気圧 $P$ と水の沸点 $ heta_{ ext{bp}}$ の関係は実験式であるアントワン式によって近似される。

アントワン式の計算式
大気圧と沸点を結びつけるアントワン式の表現。
逆算用のアントワン式
沸点を算出するための変形されたアントワン式。

曲面上の蒸気圧

液滴など、液面が曲率を持つ場合、蒸気圧 $p_d$ は表面張力の影響を受け、トムソン・ギブスの式(ケルビン方程式)で与えられる。

トムソン・ギブスの式
曲面上の蒸気圧を表すトムソン・ギブスの式。

よくある質問

蒸気圧とは何ですか?
液相あるいは固相にある物質と相平衡にあるような物質の気相の圧力のことです。
沸点と蒸気圧の関係は何ですか?
物質の沸点とは、その物質が液相にあるときの蒸気圧が外圧に等しくなる温度のことです。

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参考文献

Sergey P. Verevkin, Dzmitry H. Zaitsau, Vladimir N. Emel’yanenko, Aleksandra A. Zhabina (2015). “Thermodynamic properties of glycerol: Experimental and theoretical study”. Fluid Phase Equilibria 397: 87–94. doi:10.1016/j.fluid.2015.03.038.